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そんなこともある [コネティカット生活]

あまりに飛行機に疲弊したので、しばらくあの旅のことを考えたくなかった。

けど、だいぶ良くなってきたので、先日のロングフライトでの経験を語ろう。

我らの席は、ジャンボ機Coach席の前の方、入り口からわりと近い場所であった。
飛行機は上海から成田を経由し、デトロイトまで便だったので、
日本人乗客よりむしろ、アメリカ人と中国人が多かったように思う。

成田でたっぷりベビ子を遊ばせて、飛行機内で寝かそうとしたが
作戦に失敗した我らは、反り返り泣く子を抱え、入り口付近にて
抱っこしたり歩かせたり、なんとか人の迷惑にならんように過ごしていた。

すぐ横がトイレなので、入れ替わり立ち代り、いろんな人がきて並んでいて
時には大変ですね、と声をかけてくれる人がいたり、自分たちの経験談を語ってくれる人や
世間話をしてきたおじさんなどもいた。

「Coach席の一番前の3人掛けの真ん中の席が空いているから、
そこの場所を使ってくれてもいいよ」
とCAさんが言ってくれた。
ありがとう、と言ってその場所を見たら、
窓側に座っていたアメリカ人っぽいおっさんが、ものすごいゴミを散らかして、
怪しい風貌で座っていたので、「席がなくても大丈夫です」とお断りした。

しばらく飛行機が揺れてシートベルトサインが点灯したので、座席に戻った。
やっと飛行が安定したその時、
その怪しいおっさん、立ち上がり、突然服を脱ぎ始める。
しかも、我らの方を向いて、どんどん脱いでいくではないか。

上半身裸になったおっさん、体には十字の刺青、腕にも刺青、
通路を挟んで隣だった台湾人のおばちゃん(推定年齢50歳)も、
目を丸くして、裸体のおっさんの行動に釘付けになっていた。

少なくとも、私より前の席にいた誰もが、
怪しいおっさんの一挙一動を見ていたに違いない。

そしておっさん、体中に何やらスプレーらしきものをふりかけ、
体をゴシゴシしていた。

変だ、絶対変だ。

そして、おもむろに、上の棚から金属の棒のようなものを出した。
ハイジャック犯だったらどうしよう・・・、と思いつつおっさんの行動から目が離せなくなった。

急にベビ子が騒ぎ始めたので、慌てて入り口付近まで行き、立ってあやしていたら、
おっさんが座席後方のトイレに姿を消した。

とりあえず、おっさんが遠くに行ってよかった~と思ってしばらく入り口付近で抱っこをし続け、
あっちへウロウロ、こっちへウロウロしていたわけだ。

しばらくすると、私が立っていたすぐ近くのトイレの中から大きな叫び声
「※?×△★☆ほげぇ~~」

こわっと思っていたら、即ごっつい男性のCAが飛んできた。
殺気を感じたので、席に戻った。

3人ぐらいCAが集まってきて、何やら相談している。
一人の女性CAがトイレのドアを開け、中の人と話をしている。
どうやら何か説得しているかのように見えた。

しばらくして、ごっつい男性CAが、トイレから強引に人を引きずり出した。
出たくない、出たくないと踏ん張りつつ
エビのように丸まって出てきたのは、あの怪しいおっさんであった。

さっき後ろのトイレに行ったはずなのに、いつの間に前方のトイレに戻ってきたのであろうか。

無理やりシートに座らされ、毛布を上から掛けられたおっさん、
私の席からは、彼の後頭部しか見えなかったが、どうやらフラフラしている。

即、機内アナウンスが流れ
Medical Doctorがいたら、○○番の座席に来てほしいという依頼であった。

そんな都合良く、Doctorが居るのかね~とD氏と話をしていたら、
2人もDoctorらしき人が現れ、おっさんの体調チェックなどをしていた。

飛行機の轟音で、CAとDoctorの会話までは全然聞こえなかったが、
ジェスチャーだけで判断すると、どうやら本当に精神的におかしくなってしまったらしい。

飛行機は、あとデトロイトまで3時間というところまで来ていた。
どこかに緊急着陸などするのだろうか、と心配してたけど、
そのまま飛び続け、おっさんは寝かされたまま、デトロイトに到着したわけである。
常にCAが一人、おっさんを見張っている状態であった。

あの怪しいおっさんが、何かの犯人でなかったことに安心したけど、
一体どうしちゃったのか、気になるところではあった。

「デトロイトで救急隊が機内に入るので、乗客のみなさんは、しばらく座ってお待ちください」という
アナウンスが流れ、誰もがロングフライトで疲れ果て、
一時でも早く飛行機を降りたいという気持ちの中、
CAの指示に従って我らは待つしかなかったわけである。


ほどなく救急隊が到着し、彼を担架で寝かして運び出していったわけである。

我ら一般人は、10分くらい待った後にやっと飛行機から脱出、
ホッと一息ついたその時、後ろから日本語が聞こえてきた。

「私だって具合の悪いふりして、早く出たかったわ」と、観光客っぽい女。


たしかに、おっさんは怪しかったし、明らかに普通の人とは違う行動をしてて、
挙句の果てにトイレに立てこもって、絶対にどっかおかしいけど、
その一言は無いんじゃないかな・・・とイラっときてしまった。

逆に、たまたま乗客として乗り合わせたお医者さん、
自分の道具を出してきて、長いこと問診したり、聴診器を当てたり、
一生懸命状況判断しようと、がんばっていた。
それももちろん、ボランティアでしょ。

出口を出たところで、寝かされたまま問診を受けるおっさんの周りに
大量の中国人の野次馬。
なんやかんや、彼らの言葉で話してるから、わかんないけど、迷惑だな~と。


ま、とにかく、世の中には色んな人がいて、色んな価値観があると思うけど
もうちょっと人に優しくならんといけませんな。






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コメント 3

seiji

こんなことってあるんですねぇ・・・
ちょっと読みながら、次はどうなる??って気が気じゃなかったです・・・
日本語でボソッとつぶやく女性も酷いですね・・・思っても口に出しちゃいけないことだってあるのに・・・
しかし子連れでロングフライトはホント大変ですよね。お疲れ様でした。

by seiji (2009-01-28 13:00) 

のんち

>seijiさん
ちょっと怖かったです。どんな人がいるか、わからないですからね。
お医者さんが2人も乗ってたことにびっくりしました。

by のんち (2009-01-29 04:49) 

まろっぽ

とにかく何も無くてよかったね~~
へんなおっさん怖い。
夢に出てきたらどうしよう・・・nonchi出てこない??
by まろっぽ (2009-01-29 21:01) 

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