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プッシュプッシュ ~アメリカ難産出産体験記3~ [妊婦生活]

無痛分娩。
痛みが無く、プレッシャーのみを感じるので、母体や胎児にダメージが少なく
楽に出産できる。
確かに、私みたいに子宮口が開かない、など問題がなく分娩が進むのなら
あの麻酔の中で出産できるのは、楽であろう。
せっかく無痛を選んだのに、結局本格的陣痛も体験してしまった私。

2時30分、無痛の麻酔をかけてからは、痛みという痛みはほとんど無かった。
麻酔が効き始め、部屋の電気を消してもらい、しばし睡眠。
D氏も隣のソファベットでぐーっすり就寝。

のんきな我らとは引き換えに、看護婦たちは大忙し。
母体は痛みが消えたからのんきに居眠りしてたけど、
実はこのときが一番、ベビ子が危険にさらされていたらしい。
痛みは無くても、相変わらず1~2分おきに陣痛が来ていたからである。
15分おきに、看護婦が私の体の向きを変えてくれた。
無痛分娩にすると、下半身の感覚が全くなくなるので、自分で動くことができない。
看護婦2人がかりで、あらゆる体勢にしてくれた。
そして、さらなるモニターを取り付けたり、私が脱水症状にならぬよう、
点滴を増やしたりと、大忙し。

3時20分、突然、パンっという音とともに破水。
胎児モニターをつけていたからか、風船が割れるみたいな大きな音だった。
生ぬるい羊水がドバっと出てきた。
医療行為が続いていたから、連続しての睡眠は取れなかったけど、
この時間のおかげでだいぶ体力が回復してきた。

破水から1時間経った4時半、子宮口が4センチ開き。
思ったより早い子宮の開きに、私はめちゃくちゃ喜んだけど、ドクターより説明があり、
「胎児が危険な状態にあるため、帝王切開に切り替えるかもしれない」と宣言される。
胎児モニターを確認して、判断するとのこと。

いつになったら判断されるのか?不安に思いつつ、4時間経過。
朝8時30分。子宮口6センチ開き。
胎児が危険な状態から脱してきたとのこと。
なんだかやっと安心してきて、ずーっと見ていた横のモニターから目を離し熟睡。

そして10時30分、とうとうその時がやってきた。
子宮口が全開になったとのこと。
本当によくがんばったね、とドクターに誉められたけど、
正直辛かったのは前段階だったから、あんまり実感なし。

看護婦から、お腹に強くプレッシャーを感じてきたら、プッシュを開始しようね、といわれる。
あまり早くやってしまうと3時間くらいかかっちゃうからね。ということで
のんびりその時を待とう、って思っていたんだけど。

11時30分になって、陣痛のたびに強いプレッシャーを感じ始める。
それを伝えると、OK、準備するわ、とあっという間に色々準備されていった。
このとき、陣痛の間隔は7分。
こんなに間隔があくと、プッシュに時間がかかってしまうため、
今度は陣痛促進剤を投与される。

11時40分、助産師一人でチャキチャキと陣痛室が分娩室に早変わり。
ドクター用の医療器具やら、ベビー用のケア用品まですべてを用意。

「じゃあ、旦那さんはそっちの足を持って」と言われ、私の左足を持ったD氏。
助産師が私の右足を持つ。
陣痛の波に合わせて、プッシュプッシュという合図とともに、息を止め力を入れる。
OKいいわよ~、と言われつつも、時間はどんどん経過していく。
息んでは、陣痛を待ち、息んでは陣痛待ちを繰り返し、
1時間経過。

頭が見えてきた、とD氏。フサフサに生えてる真っ黒の髪の毛が見えたそうだ。
助産師が、旦那さんの髪の毛にそっくりね~と笑っていた。
息んでも、息んでも、一向に進まず2時間が過ぎた頃、
OK、もうすぐよ。という声が聞こえる。
ずーっと立ちっぱなし、私の足を持ったままの助産師とD氏。
さぞかし辛かったであろう。
私も、プッシュに疲れて、酸欠状態になりつつ。

陣痛の波を待つ間に、せっかく出てきた部分も引っ込んでしまっていたそうだ。
やっと3分間隔の陣痛が来て、本当にもうすぐ、となった時点でドクターが呼ばれる。
一気に7人くらいのドクターがぞろぞろ入ってきて、手術用の服に着替え始める。
早着替えコンテストを見ているようで、結構楽しめちゃったりしたんだけど、
早い人は30秒もしないで着替え終わってた。

陣痛の波を待って、再度プッシュ。
プッシュのときは、力が入りやすいように、
妊婦自身も自分の太ももを支えてプッシュする。
D氏が足を持ちながら、もうちょっと、あとちょっと、
もう出るよ、もう出るよと解説してくれてた。
かれこれ、2日半、全くご飯を食べてないから、力も湧かないし、
お腹はぐーぐー鳴ってるし、
もう最後の力じゃー!と思ってプッシュした瞬間、
すごい勢いで私の体から発射されたベビ子。

あまりの勢いに最初はびっくりしちゃったけど、
オワっ、オワっ、という泣き声と、
出てきた!!というD氏の声でわれに返ってやっと気が付いた。

無事出てきた~~

と、思った瞬間に、あふれ出る涙・涙・涙。

実際泣いてたのは私だけで、周りはチャキチャキベビ子ケアやら
裂けてしまった部分の縫合に大忙し。
どんだけ裂けたのかわからないけど、生まれてから30分以上も処置が続いた。
ドクターの説明では、「ほんの少し裂けました」ということだったけど・・・。
麻酔が効いてるから、全然痛くなかったけど、
あっちこっちチクチクされて、引っ張られる感じで辛かった。
結局、プッシュ時間も2時間45分くらい。長引いたな。


わが子。生まれたてのショット。
そして、一人で切り盛りしてたスーパー助産師。


というわけで、26時間にわたる出産体験記。
どんだけの麻酔を投与されたかわからないけど、私もベビ子も元気です。

正直、自分の分娩にこんなに時間がかかると思っていなかった。
そんで、やっぱり出産って命がけなんだな~という感想。

血や痛みに弱いから、立会い出産は絶対しない!と
宣言していたD氏だったけど、
結局最後までずーっと立ち会ってくれて、
私を勇気付けて、足を持って、一緒に感動してくれた。
私の位置からは、血液とかほとんど見えなかったけど、
相当グロイものばかり見たんだろうな。

出産してから、ほとんど眠らず、ずーっとベビ子と過ごしてきたんだけど、
一緒に退院するはずだった今日は、ベビ子に黄疸症状が出ちゃったので
ベビ子のみ、もう1泊病院に入院中。
現在、紫のライトを当てられて寝てることでしょう。

今日はベビ子が私たちにくれた休日だと思って、
二人だけのお祝いパーティー。
そして、一気にブログ更新。

みなさんから、たくさんメールやら、ブログにコメントをもらって、
そして喜んでもらえて、本当に嬉しかったです。
パソコンに向かって号泣し、食事をして号泣し、ブログを書いて、また一人で涙。

長かった妊婦生活、本当にたくさんの人に支えられ、助けてもらい
励ましてもらい、なんとか乗り切れました。
ほんとうにありがとうございました。

明日からは、母親生活を1からスタート。
張り切って、そして楽しんで毎日を送れるよう、がんばろうっと。






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